小説

銀月ストリングス 序幕閑話・月堕つ夜

輪郭は朧気に、しかし、はっきりと其の容貌が分かる彼方の銀月。真夜中に於いては唯一の光彩である其れは、荒涼とした僻地を冷たく照らす。光は寂寥とし、どこか心持たない。しかし、この場所に於いてはどうも当てはまらない。此処には過去に人々が住んでい…

お知らせ?

とりあえず、加筆したり修正したりしてちびちびアップした一章が終了。次からは序幕閑話の二発目、次いで第二章をアップしようかと思うです。時間あるときにでもちびりちびり読んでいただければこれ幸いです。よろしくどうぞ。 でですね、話の流れについてな…

銀月ストリングス 第一章・狭い狭い極東の果てで

(前回内容は左側メニューから) 3雨音はさめざめと、しかし、はっきりと聞こえる泣き声が辺りに響く。 全身をすっぽりと覆う黒色外套を纏った二つの影は、火柱から飛び出るや否や、全く同じ動作で懐に隠したナイフを投擲する。其の動作は一瞬。懐からナイフ…

銀月ストリングス 第一章・狭い狭い極東の果てで

(前回内容は左側のメニューから) 2和葉がレトロビルから抜け、信号待ちをしていると風が一度だけ強く吹いた。街路樹の緑がざあざあと揺れ、アスファルトに篭る熱を一瞬だけ冷まして行く。ふと見上げた空は今にも泣き出しそうな表情を見せていた。 「やばい…

銀月ストリングスのちょっとした解説??

星見がぽちぽち書いております小説。句読点がたまにおかしなところについておりますが仕様です(ぉ)。誤字脱字があるかもしれませんが仕様です(ぉ)。うう、なんか自分で言っておいてなんですが、かなり凹んできたぞ(汗)。 さておき。で、ここのセクションは、…

銀月ストリングス 第一章・狭い狭い極東の果てで

(前回内容は左のメニューから) 1茹だるような暑さが毎日のように続き、生き物は皆、太陽の恩恵を須らく受けている。しかし、こうも毎日というのは流石に嫌気がさしてきてしまう。淡雪がちらちらと降る季節には恋しいものの、やはり夏になると非常に厄介な存…

銀月ストリングス 序幕閑話・原初

彼の名は誰も記憶しておらず、また、記録にも残らぬ古き物語故、彼は〝彼〟という名称を使い、語るとしよう。 彼は、稀代の代行者、並びにその他代行者と比べれば、心技体どれもが平凡な存在であった。唯一他の代行者より突出していると言えるのは、誰にでも…

銀月ストリングス 第一章・狭い狭い極東の果てで

0辺りを包む真っ暗闇から逃げるように、一台の夜行バスがトンネルに足を入れた。 オレンジ色に染まるトンネル内部はナトリウムランプが禍々しいまでの光を見せ、昼なのか夜なのか判別のつかぬ世界を醸し出している。密かに鳴らしている深夜ラジオに耳を傾け…